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Vol.14 古典的な味わい伝える西ハイランド

きのした ともかず/ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーレクチャラー。社内セミナーを機にウイスキーの魅力に目覚める。2022年9月現在、アサヒビール中部統括本部営業企画部で業務用の販促企画などを担当している。

 前回お話させていただいた、スコットランドのモルトウイスキー生産地域のうち、最も広範な地域を指すのが「ハイランド」です。

 そのハイランドでつくられるモルトウイスキーの味わいの特徴を、東西南北で分けて簡単に説明しますと、北ハイランドは「フルボディの強い個性」、スペイサイドを含む東ハイランドは「華やか」、ローランドと境を接する南ハイランドは「飲みやすさ」、西ハイランドは「古典的な味わい」と言えます。ただ、あくまでも非常に大まかな分け方で、単純な分け方では説明しきれない多様性を持つことが、スコッチの原動力であり魅力でもあるのは前回のお話し通りです。

 さて、その「古典的な味わい」が特徴の一つといえる西ハイランドにあるのが、ニッカウヰスキーが所有する「ベン・ネヴィス蒸溜所」です。

 「ベン・ネヴィス蒸溜所」は、スコットランド第二の都市・グラスゴーから北北西へおよそ160㎞、スコットランド最高峰であるベン・ネヴィス山の麓の避暑地フォートウィリアムで1825年に創立された、歴史ある蒸溜所です。

 スコッチ業界全体の生産調整のため1980年代半ば頃に操業を停止していましたが、ニッカが1989年に経営権を取得し設備を整えて、翌年9月から生産を再開しました。今もニッカの社員が現地におもむき、製造や研究に携わっています。

 ベン・ネヴィス蒸溜所の蒸溜器は、蒸溜器の見本ともいえるような、どっしりとした安定感のある形状をしたストレートヘッド型です。1918年にスコットランドへ渡った竹鶴政孝翁が、設計図として持ち帰ってきた蒸溜器とほぼ同じ見た目で、そのことからも、伝統的な蒸溜器の形状を今に残していることがうかがえます。

 そのベン・ネヴィス蒸溜所の個性を一番表しているウイスキーが「ベン・ネヴィス シングルモルト10年」です。

 ピートやバニラなどを思わせる落ち着きのある香りと、非常にしっかりしたモルトの味わいを持ったウイスキーです。また、クリーミーな舌触りの良さも併せ持ち、ジャパニーズウイスキーにも通じるような繊細さも感じさせます。華やかさやフルーティーさといった派手さはありませんが、その分、骨格のはっきりしたモルトのおいしさをしっかりと感じられる、伝統的な味わいをもったモルトウイスキーと言えると思います。

 そして、ベン・ネヴィスの原酒を使い、ニッカのブレンダーが手掛けたウイスキーが「フォートウィリアム」です。ベン・ネヴィスの個性を、シングルモルトと間違えてしまいそうなほど感じられるまま、よりスムースに、より飲みやすく仕上げたブレンデッドウイスキーです。加水しても味わいが崩れない「伸び」の良さもありますので、水割り、ロック、ハイボールと、お好みの飲み方でお試しいただければと思います。

 左がニッカが所有するスコットランドの蒸溜所のシングルモルト「ベンネヴィス10年」。(700㎖・アルコール度数43%・税別参考小売価格4990円)
 右がブレンデッド「フォートウィリアム」(700㎖・40%・同1330円・量販市場限定商品)。甘くやわらかで、スムースな味わいが特徴。

※「醸-かもす-」2016年8月号掲載

※本記事の内容は日付等の記載がない限り「醸-かもす-」掲載時点でのものであり、将来にわたってその真意性を保証するものでないこと、掲載後の時間経過等にともない内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

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