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変化受け入れ前向きにさせるお酒

~未来へ受け継ぐ最高の一杯~第6回

アサヒビールモルト 堀口 聡総務部長

 1846年に津之国屋として製飴用麦芽の製造を開始して以来、麦芽一筋に技術を磨き研究を重ね、現在はビールやウイスキーの原料となる麦芽や麦茶などを製造・販売している「アサヒビールモルト」。同社の総務部長を務める堀口氏は、平成元年にニッカウヰスキー入社。その後営業統合によりアサヒビールの社員に。そして昨年9月からアサヒビールモルトへ出向している。

 ウイスキーメーカーからビールメーカーへ、そして、営業サイドから製造サイドへと、所属場の変遷を体験してきた堀口氏。現在のアサヒビールモルトでは特に学ぶ事が多いと話す。「社長の竹本(英明氏)から最初に言われた事がありましてね。君は総務で内勤だけど、現場の一人一人は君の事を見てる。だから言動より行動だよって。そう教えられて、初めてそういう事を意識するようになりましたね」。環境が変わったからこその気付きが、変化を受け入れる原動力になっている。

 そういった気付きを得られるのは、人とのコミュニケーションがあっての事だという堀口氏は、お酒の魅力をこう話す。

 「人間関係をダブルでシンカさせるといいますか。一つは進む進化で、もう一つは掘り下げていく深化。お酒を酌み交わす事で、相手の本音の部分を理解しあえるようになれると思います」。仕事上の立場や建前といった表層的な部分に隠れてしまいがちで、当人ですら気づいていない事もある、物事の根幹をなす重要なファクター。それらを引き出す環境をつくるのもお酒ならではの力だ

アサヒビールモルト 堀口 聡総務部長

 「お酒の会社にはいって約四半世紀経ちましたけど、やっぱりお酒っていい物ですよ」と、改めて現在の心境を語る堀口氏だが、初めから酒類メーカーを志望していたわけではなかったという。

 当時の志望は銀行員か公務員。両親のたっての希望だったが、紆余曲折を経て堀口氏が選んだのはニッカだった。「親にすれば意外な選択だったと思いますね」と当時を振り返る。しかし両親は息子を応援する気持ちを忘れはしなかった。内定を受けた8月20日を境に堀口家の晩酌はニッカとアサヒだけになった。「ニッカとアサヒが親子関係にあるっていうのを、わざわざ調べてくれたんだと思います。その日のお酒はうまかったですよ」。息子の門出を祝う両親の粋な計らいだった。

「人間万事塞翁が馬。振り返ると非常に良いサラリーマン人生を歩ませてもらってますね」。変化を前向きにとらえ、受け入れてきた堀口氏。その根幹には、希望とは違う道を選んだ息子を受け入れた、両親の優しさあふれる一杯がある。

※全国醸界新聞2013年7月27日号掲載

※本記事の内容は日付等の記載がない限り「醸-かもす-」掲載時点でのものであり、将来にわたってその真意性を保証するものでないこと、掲載後の時間経過等にともない内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

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