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黒ラベル奮闘記 第六回 ~横山雅一氏①~

割れたドラフト、復活への思い

サッポロビール 横山雅一京都中央支社長

 サッポロビールに入社したいと思ったきっかけが黒ラベルだった。大学時代にその旨さを知ってから黒ラベルばかり飲んでいた事に加え、卒業旅行で行ったアメリカでも目に入って来るビールはサッポロばかり。就職活動中にみた会社案内には輸出量ナンバーワンの文字。自分が旨いと思っているビールが世界でも認められている。入社動機がますます強くなった。

 そして平成元年に入社。ところがその年の2月、ドラフトへとリニューアルされ黒ラベルは無くなっていた。「黒ラベルが好きで入社したのに」。その思いを先輩に打ち明けると、「会社の方針で決まったんだ。その話はしないでくれ」。ショックを受けた。もちろんドラフトを好きになる努力もした。しかし、一口飲んで「違う」。二口飲んで「やっぱり違う」。自分の思いと現実との違いに葛藤する日々が続いた。

 そんなジレンマを抱えながらも営業に出ていたある日の事だった。ある問屋さんの社長が、ドラフトの瓶を私の足元に投げつけ怒鳴りつけた。「いつになったら黒ラベルを復活するんだ!!」。

 他社のビールを買い求めるお客が来ても「うちのはこれです」と言って黒ラベルを出すような熱狂的なファンの方だった。毎日のように黒ラベルの復活を訴えておられたが、その日は少しお酒が入っていた事もあり、感情的になられたのだろう。投げつけられたドラフトには黒ラベル復活への思いが詰まっていた。

 衝撃的な出来事に驚いたが、「こんなに熱い人がいるんだ。絶対復活しないといけない」と、割れて床に散乱したドラフトを片づけながら思いを強くした。(次号に続く)

※全国醸界新聞2012年6月27日号掲載

※本記事の内容は日付等の記載がない限り「醸-かもす-」掲載時点でのものであり、将来にわたってその真意性を保証するものでないこと、掲載後の時間経過等にともない内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

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