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黒ラベル奮闘記 第九回 ~横山雅一氏④~

固め支えた現場のつながり

サッポロビール 横山雅一京都中央支社長

 枝元社長(当時)の激励を受けてから、赤い箱、自社のビールケースの行先を追うようになった。

 白と黄色のビールケースばかりが目につく中で、赤い箱を2~3ケース積んでいる問屋さんのトラックを捕まえては行き先を聞く。赤い箱を積んで走っている酒販店さんのトラックを見れば、店名をチェックして挨拶に伺った。「あそこの酒屋さんだよ」。「近くの居酒屋から注文が来るんだ」。黒ラベルを使って下さるお店があり、飲んで下さる方がいるという事実。文句ばかり言っていた私の気持ちを前向きにした。

 営業の面白さを感じはじめた私は、業務用を極めたいと思うまでになった。旅館の女将さんや飲食店の店主さん、納入している酒販店さん。実際の現場に携わる様々な方のお力がつながって、赤い箱が増えていく実感。一緒になってやって下さった方達が、営業マンとしての心を固めて下さったと感謝している。

 山陰支店に配属されて3年目、当時支店長だった松村さんが、「東京のど真ん中で自分の力を試して来い」と言って送り出してくれた。自信を胸に秘めて行った東京は、毎日が事件の連続だった。200席の居酒屋が決まったと同時に、違う居酒屋が他社に切り替える。それこそ生き馬の目を抜くような所で、スピード感も山陰とは全然違う。自信はボロボロになった。

 その私を支えてくれたのは、現場に携わる方達とのつながりだった。一朝事が起これば酒販店さんが、「何やってんだ横山君」と情報を伝えて下さる。一人で商品を売っているのではない。「業務用の道は間違いではなかった」と気持ちを新たにした。

※全国醸界新聞2012年8月12日号掲載

※本記事の内容は日付等の記載がない限り「醸-かもす-」掲載時点でのものであり、将来にわたってその真意性を保証するものでないこと、掲載後の時間経過等にともない内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

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