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黒ラベル奮闘記 第十一回 ~白石英樹氏①~

期待とかけ離れた新商品

サッポロビール 白石英樹大阪中央支社長

 就職活動で選んだビールメーカーがサッポロビールだった。OB訪問でお会いした先輩が話の面白い人だったという事も後押しした。その先輩には「来るのが遅いよ」と言われたものの、トントン拍子に話が進み、昭和61年に入社した。東京での営業を希望していたが、「半年後には」と人事部長に言われ、東京支店(当時)の物流管理課に配属。約半年をすごした後、営業3課に配属されて、西新宿や高田馬場などを担当する事になった。

 直属の上司は、とにかく足を使って注文を取って来る事で有名だった方で、引き継ぎが終わるやいなや、「とにかく回って来い」。顔と名前を憶えて貰えと放り出されたが、当の本人は右も左もわからない状態。初めの2~3日は酒販店さんの近くに車を止めて「どう挨拶すればいいんだ」と考えてばかりいて、なかなか酒販店さんに入る事ができなかった。

 そんな私も営業に馴れ、サッポロビールの社員として初めての新年を迎えた時だった。お正月のご挨拶回りにうかがった酒販店さんが「アサヒさんがこれ持ってきたよ」と言って見せてくれたのは、スーパードライのパンフレットだった。辛口の日本酒がブームになっていた事もあり「売れそうだな」と感じたが、やがてそれは現実となった。

  酒販店さんに行くと、黒ラベルを飲んでくれていた顔馴染みのお客さんまで「悪いな」と言って買っていく。そんな勢いが衰える事のないまま、昭和63年が終わろうとしていた時、一つのニュースが舞い込んだ。「黒ラベルを刷新する」。しかし、対面した新商品は私のイメージとは大きく異なっていた。 

※全国醸界新聞2012年9月12日号掲載

※本記事の内容は日付等の記載がない限り「醸-かもす-」掲載時点でのものであり、将来にわたってその真意性を保証するものでないこと、掲載後の時間経過等にともない内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

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