PICK UP!

様々に楽しめるコニャック

独立の精神が育んだ埋没しない個性

 「コニャックのイメージを払拭したい」。
 そう話すのはフランスのコニャックメーカー、カミュ社のグローバルブランドアンバサダーを務めるフレデリック・ドゥゾジエ氏。
 カミュ社のハイエンド商品の開発にも参画するドゥゾジエ氏は、フランス・コニャックに生まれ農業大学でワインとスピリッツの醸造博士号を取得、同地でセラーマスターや技術責任者などを務めた後インドにわたり、蒸溜責任者やトレーニングマネージャーとしても活躍。帰国後はセゴンザック蒸溜酒大学の学長も務めた、コニャックのすべてを熟知した人物だ。
 「いろいろな飲み方を試してもらって、自分がおいしいと思える飲み方が一番いい飲み方」。そう話すドゥゾジエ氏の言葉からは、創業以来大手の資本参加に入ることなく独立を貫いてきたカミュ社のコニャックには、飲み方に埋没しない個性があるという自信がうかがえる。
 カミュ社はAOCコニャックに認定されている6つのクリュのうち、最小地区のボルドリーのぶどう畑を多く所有する、世界第5位のコニャックメーカーで、独立系家族経営のコニャックメーカーとしては最大手。 今般アサヒビールが「ボルドリーVSOP」「イル・ド・レ クリフサイドセラー」と、カミュ社のハイエンド商品二品を発売するにあたり、セミナーの講師として来日し、「ボルドリー」「イル・ド・レ」両ブランドの魅力を語った。

※「醸-かもす-」2016年6月号掲載

カミュ社のグローバルブランドアンバサダーを務めるフレデリック・ドゥゾジエ氏

ーエレガントな「ボルドリー」

 ドゥゾジエ氏ーフランス・コニャック地方の最も中心に当たるところにボルドリーはあります。コニャック地方全体のわずか5%という小さな地域です。
 16世紀のフランス国王、フランソワ一世は、ボルドリーは自分にとって2番目の場所と言っています。フランソワ一世にとってボルドリーは、とても静かで心の休まる場所であり、エレガントで魅力的な場所だったようです。
 そのエレガントさがボルドリーの特徴でもあります。それには理由があります。特別な土壌、特別な気候、そして生産者たちと、地域的な3つの要素が完璧に組み合わさったものが、ボルドリーには醸しだされています。
 ボルドリーは三層に分かれた土壌を持っています。一番下の石灰の層がフレッシュさを醸し出し、真ん中の粘土層でふくよかさが生まれます。そして一番上の火打石の層のミネラル。これらの3つが合わさることで、完璧さが達成されて、カクテルに仕上げていただいた時にも様々な可能性を生み出します。
 ボルドリーのコニャックのアロマの特徴はフローラルさです。
 収穫前のぶどうの色を見ていただければ大変驚かれると思います。まるで休暇から戻ってきた人の、日焼けした肌のような色合いです。この日焼けしたような色のぶどうの皮が、ワインをつくる工程でフローラルな香りを醸しだすのです。
 このフローラルな香りを引き立てるために特別な方法で蒸溜を行っています。蒸溜の際に、滓を入れた状態で蒸溜するのです。そうすることでアロマが凝縮されます。ボルドリーの中では、私どもカミュ社が唯一、このような蒸溜を行っています。

 ボルドリーVSOPは、カミュ社の畑から収穫した、100%シングル・クリュのコニャックです。カミュ社はボルドリーで最大の畑を所有していますが、ボルドリー自体が非常に小さい地域ですので生産量が限定されています。大変フレッシュな香りとミネラル感を感じていただけると思います。このフレッシュさは、先ほど申し上げましたとおり土壌の石灰の層から、ミネラル感は火打石の層から来ています。非常に飲みやすい味だと思いますので、常温でも冷やしても、氷を入れていただいても、楽しんでいただけると思います。

 ボルドリーXOは、滓を入れた蒸溜による、大変リッチで芳醇なアロマを感じていただけると思います。ディナーでボルドリーXOをお好み焼きと一緒に味わいましたが、本当に素晴らしい体験でした。常温でも冷やしていただいてもロックでも、大変飲みやすい味わいだと思います。

 ボルドリーは新鮮さということを感じていただけるのが特徴だと思います。このフレッシュさをさらに際立たせるために特別な氷を考えました。しょうがが入った氷です。しょうがから出てくる新鮮さが、ボルドリーそのものが持つ新鮮さと合わさることで、新鮮さが爆発するように感じていただけると思います。本当に素晴らしい組み合わせだと思います。この氷は20世紀の初頭から考えてつくられていたものです。コニャックの新しい味わいを見つけていただく、良い方法だと思います。

ボルドリーVSOP
容量700㎖ アルコール度数40%
参考小売価格(税別)8,300円

 ボルドリーで収穫されたぶどうのみを使い、特別な土壌と豊かな日照が生み出す花のような香りを最大限に引き出した。ワールドスピリッツコンペティション2015のダブルゴールドメダル、最優秀コニャックVSOPなどを受賞している。6月7日新発売。

ボルドリーXO
容量700㎖ アルコール度数40%
参考小売価格(税別)20,500円

 ボルドリーVSOPと同じく、ボルドリー産のぶどうを100%使用した、シングルクリュコニャック。繊細なスミレの香りやバニラの香り、スパイシーさも持ち合わせた甘い香りなど、芳醇な香りがめくるめく、特別感あふれるコニャック。

ー大西洋に浮かぶ「イル・ド・レ」

 コニャック地方には、大西洋に浮かぶ島「イル・ド・レ」があります。カミュ社の現当主、シリル・カミュは2000年にこの島でコニャックをつくるという考えに至りました。もし、この島で収穫前のぶどうと味わっていただけたら、塩気のあるぶどうの味わいに驚かれると思います。島以外のぶどうを比べると、実際に10倍ぐらい塩の味が強いのです。その海の強い影響を受ける環境で育ったぶどうを使い、特別な手法と特別な蒸溜、そして特別なエイジングのコニャックをつくるという発想に至ったのです。

 クリフサイドセラーは、ぶどうの栽培・収穫やワイン醸造の工程、蒸溜の工程、熟成すべてがこの島で行われています。島には16世紀ごろに造られた要塞があるのですが、その中にあるセラーで熟成を行っています。そのセラーは海から24メートルぐらいのところ、嵐が来ると海水をかぶり、セラーの上部から海水がしたたるような場所にあるのです。その環境もクリフサイドセラーをつくる工程の一部なのです。
 香りをかいでいただくと、まさに海の香り、海の新鮮さのような香りを感じていただけると思います。そして熟成によるリッチさも感じていただけると思います。

 ファインアイランドもすべての工程を島の中で行っています。情熱や活気にあふれたような、わかさを感じるコニャックかもしれません。とても軽快な味わいです。大変大きなオーク樽を使って熟成して、島の自然のフローラルさを取り入れています。
 少量のソーダなどで割っていただければ、イル・ド・レの特徴である海からの影響を受けた味わいをさらに感じていただけると思います。海岸で遊んでいろんな生き物をとっていたころを思い出させるような、そんな雰囲気があります。とても飲みやすくフレッシュな味わいで、いつでも楽しんでいただける飲み方だと思います。

 ダブルマチュアードも、同じ島で製造していますが、熟成の工程で一つ加えていることがあります。通常使われているオーク樽で熟成を始め、数年ねかせた後、樽を一度空にして内側に焦げ目をつけます。そして再度その樽に原酒を詰め、本土のコニャック地方のセラーに移動させて熟成させます。熟成の最初の過程で、海の影響など島の自然の要素が加わり、二度目の熟成の過程でスモーキーさが加わります。ウイスキーを好まれる方が想像されるようなスモーキーさが加わったコニャックです。

 アームチェアのある暖炉のそばでシガーをくゆらしながら、隣には犬がいる。そんなコニャックのイメージを、我々は払しょくしたいと思っています。私たちは木の香りがする非常にダークな色合いのイメージがあるコニャックではなく、どのようなシチュエーションでも、若い方にも伝統的にコニャックを飲まれてきた方たちにも楽しんでいただけるような、エネルギーにあふれたアロマいっぱいのコニャックをつくっていきたい。そしてそのコニャックを飲んで幸せを感じていただけるような、そういうコニャックをつくりたいと思っています。
 イメージにとらわれることなく、コニャックを楽しんでいただければ大変うれしく思います。

クリフサイドセラー
容量700㎖ アルコール度数40%
参考小売価格(税別)14,600円

 原酒を樽に詰めて10年以上熟成させたのち、海に面した要塞内のセラーで3カ月以上熟成を重ねる。海に由来する新鮮なヨード香やドライな味わいが特長。6月7日新発売。

ファインアイランド
容量700㎖ アルコール度数40%
参考小売価格(税別)5,600円

 潮風など海からの影響を強く受けたぶどうや熟成から生まれる、個性的で癖になる味わいが特長。濃いめのハイボールにすれば、塩味が引き立ち、夏にぴったりの味わいに。

ダブルマチュアード
容量700㎖ アルコール度数40%
参考小売価格(税別)7,450円

 熟成途中で樽の内部を焦がすことで、樽由来のスモーキーさや甘さを引き出した。スコットランドのスコッチ・モルト・ウイスキー協会にコレクションされている唯一のコニャック。

※本記事の内容は日付等の記載がない限り「醸-かもす-」掲載時点でのものであり、将来にわたってその真意性を保証するものでないこと、掲載後の時間経過等にともない内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

関連記事

  1. Vol.9 石炭の赤ちゃん「ピート」の香り

  2. Vol.12 スコッチと少し異なるアイリッシュ②

  3. Vol.2 ケルト民族のたくましさとウイスキー

  4. Vol.5 ブレンデッドへの新たな挑戦

  5. Vol.15 ハイランドラインに建つグレンゴイン

  6. Try me,Drink me,Love me

  7. Vol.10 個性の違う「ブラックニッカ」3兄弟

  8. Vol.16 スコッチのメッカ、スペイサイド

  9. Vol.3 ケルト民族のたくましさとウイスキー

Futures articles

  1. 滋賀の地酒は玉手箱 キラキラ輝く豊かな個性
  2. 「お酒」とはなにか 〜アルコール飲料が醸すもの〜
  3. 様々に楽しめるコニャック
  4. Try me,Drink me,Love me
  5. 古の知恵足場に一歩ずつ

人気記事

PAGE TOP
error: Content is protected !!