ワクワクからドキドキに
年末に飛び込んだ「黒ラベルを刷新する」のニュース。期待を胸に会議で対面した商品がサッポロドラフトだった。
それまでのデザインに少し古さを感じ、“もうちょっと垢抜けるといいのにな”と思ってはいたが、あまりの変わり様に、思わず「何だこりゃ」。その声を聞いた当時の支店長は「どうやって浸透させるか考えろ!」と声を荒げた。今の私なら同じ事を言うと思うが、当時の私としてはイメージと異なる商品に違和感を覚えたのは確かだった。
それでも「営業は売るのが仕事だ」と自分なりに納得し一生懸命にやったが、結果はまるでついてこなかった。半年後、黒ラベルが復活した時は、安堵に胸をなでおろした。
その後、中野区に移り、都合8年間東京の市場を経験したのち、異動になった先は札幌中央支店だった。札幌のど真ん中、すすきのでの仕事にワクワクと心が躍ったが、すぐにドキドキの連続に変わった。
業務用の営業担当のつもりだったが、問屋さんの担当もする事になり、慣れない仕事と量に戸惑った。飲食店さんとのお付き合いも東京時代とは全く違った。個人的にどれだけ仲良くして貰えるかが勝負の分かれ目になる市場で、東京時代、飲食店の方と飲みに行くという発想はほとんどなかったが、閉店度、飲食店の方を誘って飲みに行くことが日常になった。
シェアが高いからといって安心できる市場ではなかった。自分よりも気に入られる営業マンが現れれば得意先を取られる。飲食店の方に「待って!」と声をかけたところで目が覚める。仕事の夢を見るようになったのはこの頃からだ。
※全国醸界新聞2012年9月27日号掲載
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