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Vol.5 ブレンデッドへの新たな挑戦

きのした ともかず/ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーレクチャラー。社内セミナーを機にウイスキーの魅力に目覚める。2022年5月現在、アサヒビール中部統括本部営業企画部で業務用の販促企画などを担当している。

 モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドすることで、飲みやすく爽やかな味わいと香りに仕上げるブレンデッドウイスキー。ブレンドの比率はメーカーによって様々ではありますが、モルトが2割から3割、グレーンが8割から7割というのが、一般的なブレンド比率です。香りや味わいの個性が強く、ラウド(声高な)スピリッツと呼ばれるモルトウイスキーと、連続式蒸留機で蒸溜され、その個性が控えめなことからサイレント(物静かな)スピリッツと呼ばれるグレーンウイスキー。その両者の特徴を最大限に引き出し、誰でも親しみやすく飲みやすい味わいを追求してきた結果といえると思います。

 しかし、飲みやすさという魅力には、また違った形もあるのではないでしょうか。まろやかな味わい、シルキーな口当たり、包み込むような芳醇さなど、バランスの取れた円熟味も、飲みやすさという魅力の一つだと思います。

 弊社で販売させていただいているウイスキーブランド「竹鶴」は、余市モルトと宮城峡モルトをヴァッティング(ブレンド)した、ピュアモルトウイスキーです。光栄にも世界的に高い評価をいただいておりますが、評価いただいているポイントの一つに、100%モルトウイスキーでありながら、円熟した飲みやすさも持っているという特徴があります。

 そういった評価をいただいたニッカウヰスキーのブレンダーは、一つの着想を得ました。

 「ピュアモルトウイスキーに自分たちのカフェグレーンをブレンドすれば、よりモルトのおいしさを引き出しつつ、円熟味のあるウイスキーを造れるのではないか」。

 ニッカウヰスキーが使用しているグレーンウイスキーは、カフェ式という連続式蒸留機で蒸溜するのですが、導入された1963年当時から見ても、基本設計が130年ほど前という旧式なのです。当然、最新の連続式蒸溜機と比べると蒸溜効率が非常に悪いのですが、その反面、原料の風味を残したグレーンウイスキーが造れるという利点があります。そういった特徴を持つカフェグレーンをうまくブレンドすれば、より円熟感を表現できると考えたのです。

 そうして誕生したのが、「ザ・ニッカ12年」です。一般的なブレンデッドウイスキーとは異なり、モルト原酒を60%以上使用している、世界的にも非常にまれなブレンデッドウイスキーですが、モルトの個性が強すぎるということはなく、一口含んでいただければ、しっかりとしたモルトのコクとグレーン本来の甘さやまろやかさが見事に調和し、その味わいが真円を保ったまま口中に広がっていく。そんな円熟感やバランスの良さを感じていただけるのではないでしょうか。

 一般的なブレンデッドウイスキーでは決して味わえない味わいを、より多くの人に知ってもらいたい。日本で初めて本格的なウイスキーを造った竹鶴政孝の精神を受け継ぎ、世界的な評価をいただいたニッカウヰスキーのブレンダーたちの新たな挑戦です。ぜひ一度お試しください。

「ザ・ニッカ12年」
 豊かなモルトの香りやコクを軸に、果実や花束を思わせる華やかな香り、甘い樽熟成香、カフェグレーンのまろやかな甘さなどが重なり合いながら、スムースな口当たりとともに口中に広がり、甘く豊かな香りが心地よく続く。
 瓶700mll。アルコール分43%オープン価格。

※本記事の内容は日付等の記載がない限り全国醸界新聞掲載時点でのものであり、将来にわたってその真意性を保証するものでないこと、掲載後の時間経過等にともない内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

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