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Vol.2 ケルト民族のたくましさとウイスキー

きのした ともかず/ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーレクチャラー。社内セミナーを機にウイスキーの魅力に目覚める。2022年5月現在、アサヒビール中部統括本部営業企画部で業務用の販促企画などを担当している。

 世界5大ウイスキーという言葉をご存じでしょうか。質・量ともに世界的な評価を受けているアイリッシュ、スコッチ、アメリカン、カナディアン、そしてジャパニーズウイスキーの総称です。ジャパニーズウイスキーはニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝によって日本へと伝えられたウイスキーですが、その他の国へウイスキーを伝えたのはケルト民族でした。

 もともとウイスキーはケルト民族の地酒です。アイルランド島からグレートブリテン島の北と西に定着していったケルト民族ですが、イングランドに征服されお酒に重税をかけられます。ケルト民族たちは自分たちのお酒を守るため密造するようになるのですが、お酒を隠すために樽に詰めておいたら、えもいわれぬおいしいお酒になっていた、それが今日に続くウイスキーの発祥です。ちなみに、ウイスキーにはケルト民族の言葉であるゲール語で「谷」を意味する「グレン」という言葉を使った銘柄が非常に多いのですが、これは、税を徴収する官吏が来ないような辺境の地に蒸溜所をつくっていたということの名残です。

 アメリカ大陸へも、東海岸へと移住したケルト民族たちによってウイスキーが伝わります。しかし、アメリカでも重税を課せられ、その重税から逃れるために内陸部のテネシー州やケンタッキー州、カナダへと蒸溜所が移り、現在のアメリカンとカナディアンウイスキーへと発展していきます。

 そうして各地へと伝わったウイスキーですが、アイリッシュ、スコッチ、ジャパニーズは大麦を主原料としているのに対して、アメリカ大陸のウイスキーはトウモロコシやライ麦を主体としたウイスキーが多いという違いがあります。アメリカ大陸ではトウモロコシがたくさんとれ、カナダではライ麦が豊富にとれるので、そういうレシピになっていったのです。

 余談ですが、ケルト民族はお酒も強くて力も強いという民族で、現在のアメリカでも軍隊や警察、消防員といった仕事に従事する方が非常に多いそうです。重税を逃れるために移住した先で、それまでの原料がなくてもおいしいお酒を造ろうという、そういったたくましさもケルト民族ならではなのかもしれません。

 当然原料の違いは味わいに大きく影響します。弊社が国内販売しているブラウン・フォーマン社の「ジャックダニエル」は、アメリカンウイスキーを代表するブランドの一つですが、前回ご紹介させていただいたジャパニーズウイスキー「竹鶴ピュアモルト」とは全く違う味わいを持っています。「日本で本物のスコッチを」という竹鶴政孝の精神を受け継ぐ「竹鶴ピュアモルト」と、新大陸で花開いたアメリカンウイスキー「ジャックダニエル」。ぜひ飲み比べていただき、その違いを体感していただければと思います。

 次回は、トウモロコシを主原料としたアメリカンウイスキーとして「ジャックダニエル」をお勧めする理由を説明させていただきたいと思います。

「ジャックダニエル ブラック(Old №7」
 サトウカエデの木炭で一滴一滴ろ過する「チャコールメローイング」製法でつくられる、アメリカを代表するプレミアムウイスキー。アルコール分40%。

※「醸-かもす-」2015年8月号掲載。本記事の内容は日付等の記載がない限り「醸-かもす-」掲載時点でのものであり、将来にわたってその真意性を保証するものでないこと、掲載後の時間経過等にともない内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

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